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ハベイ号、衝突する


「さて、まずは事故の経緯から見てみましょう。」
「2007年12月7日朝、韓国西岸の忠清南道・泰安郡(チュンチョンナムド・テアングン)の沖合い5海里(約9km)の海域で錨泊中の香港船籍のタンカー、HebeiSprit号(以下、ハベイ号)と韓国の大型クレーン船が衝突しました」
「ハベイ号の積荷は原油で、衝突した結果10,000キロリットル以上の原油が流出したと伝えられています」
「事故現場は風光明媚な国立公園海域で、アワビ、牡蠣、海苔などの養殖場でもあり、海水浴場や干潟などの自然環境が整っていたようだ」
「海水浴場や景勝地などのダメージも無視できませんが、特に水産業のダメージは深刻ですね」
「セイバーが聞いたら深刻なダメージを受けそうね。被害額はどれくらい?」
「さすがは我がマスター。金のことになると・・・」
「あぁちゃぁ? それ以上言ったら・・・」
「さて、なんのことやら」
「原油流出による被害規模は概算で3,740ヘクタール、被害額は概算で1億8900万英ポンド(2007年10月時点)だそうです」
「1億8900万英ポンドって・・・(絶句)」
「日本円換算だと100倍して3割増と行った所か」
「大体378億5900万円ってところかしら・・・判りにくいのよ、あんたは!」
「その割には即答してるじゃないか・・・(汗)」
「へぇ、何か言いたいみたいねぇ? エミヤクン?」
「ナンデモゴザイマセン・・・」
「まったく・・・それで? 賠償は済んだの?」
「いいえ?」
「ええっ? これって1年以上前の事故でしょ?(2009年2月16日現在)」
「そうだが?」
「それで賠償が終わってないの?」
「まぁまぁ、今回は事故の経緯を話す回ですから、その話は後ほど・・・」
「釈然としないわね・・・まぁいいわ。それで、事故の概要はどうなの?」
「えぇ、先ほども申し上げた通り、インド船籍のHebeiSprit号と韓国のサムスン社系列の大型クレーン船が衝突しました」
「そしてその結果、10,000キロリットル以上の原油が流出した」
「クレーン船と言っても、クレーン船自体に動力はありません」
「え? それじゃ、どうやってクレーン船は動いていたんだ?」
「クレーン船のような大きな重量物を海上で動かすためには、それを牽引(引っ張る)するタグボートというものが動かすのだ」
「車で言えばトレーラーのようなものですね。ただ、厳密に言えばトレーラーというのは牽引対象物であり、トレーラーを牽引するのはトラクターと呼ばれていますが」
「つまり、トラクターが牽引してるトレーラーがトラクターをぶっちぎって飛んでいったら駐車中の車があった、ということね」
「とても判りやすい例えです、リン」
「言葉遣いは感心しないがな」
「なによ、アーチャー」
「いや、なんでもない」
「でも、変ね。幾らなんでも牽引するロープが切れるなんて、そんなことがあるのかしら?」
「それについては、後日、検証予定です」
「ふぅん、それまで持つのかしら?」
「いけません、リン。それは禁句です(汗)」
「そうだ、マスター。我々の存在に関わるぞ(汗)」
「そ・・・そうね、判ったわ」
「判って頂けて幸いです」
「まぁ、実際に起きてしまった事故について云々するのは無意味なんだが、次なる事故を起こさない為に検証することは意味のある事だ」
「そうですね。現場海域周辺がサルガッソーのような海難事故が起き易い所でないことが難ではありますが」
「何せ相手は大自然だ。逆らおうとすると牙を剥いてくる」
「事故当時は冬の海でしたから、一度荒れたら暫くは天候状態の回復は期待できませんでした」
「そんな中だったからこそ、hebeisprit号は泰安郡で錨を下ろし、停泊中だったわけだな」
「そうですね。更にHebeiSprit号の船員たちは上陸中で船には船長と機関長しか残っていませんでした」
「事故は船に2人しか居ない時に起こったようだ」
「時系列で見てみましょう」


<HebeiSprit号と大型クレーン船衝突まで>
・事故前日(2007年12月6日)午後、二隻のタグボート(曳航船)により、それぞれ一本ずつワイヤーで牽引され、仁川から巨済に向け出航。
・事故当日(2007年12月7日)午前5時20分頃、同曳航船団は事故現場海域に到達。付近にある航行管制室は、同曳航船団が錨泊中のHebeiSprit号に接近しつつあるのを察知。二度警告するも曳航船団から応答なし。
・同日午前5時50分頃、航行管制室はレーダーにより、同曳航船団の航行に異常が生じ、HebeiSprit号にますます接近しつつあるのを確認、再度無線によって呼び出すも応答なし。
・ちょうどその頃、同曳航船団ではワイヤーが一本切れ、大型クレーン船の制御が出来ない状態に陥る。
・同日午前6時20分頃、同曳航船団はHebeiSprit号に更に接近、無線が繋がらない事に危機を感じた管制室は同曳航船団の船長の携帯を調べあげ、警告連絡に成功。
・同日午前6時30分頃、航行管制室はHebeiSprit号に対しても無線連絡で曳航船団との衝突の危機にあるので、安全海域に移動するよう警告。
・同日午前6時50分頃、航行管制室に曳航船団船長から連絡、クレーン船の制御が不可能になったので、HebeiSprit号を移動させて欲しい旨を伝える。
・しかし、大型タンカーであるHebeiSprit号は主機関を動かし、移動する為には十分な時間が必要、と回答。
・同日午前7時15分頃、まるで糸の切れた凧状態のクレーン船がHebeiSprit号に衝突、HebeiSpirit号左舷に3箇所の穴を開ける。


「といった流れなのですが」
「なるほどね・・・」
「なんというか・・・悲劇だな」
「ちょっと待った」
「どうしました? 士郎?」
「どうして韓国側の曳航船団はわざわざ当たり屋みたいな真似をしたんだ?」
「と、言いますと?」
「海なんて広いんだし、わざわざ当たりに行くような航路を取るのって、おかしくないか?」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・」
「な・・・なんだよ、その可哀想な人を見るような目は・・・」
「ご安心ください、士郎。実際、私達は可哀想な人を見るような目で見ています」
「なんでさ」
「正真正銘の馬鹿だな。貴様は「座礁」という言葉を知らんのか?」
「それくらいは知ってる。船が浅瀬や海面下の岩なんかに乗り上げることだろ?」
「ふむ、それくらいは知っていたようだな」
「だけど、海の真ん中で座礁なんて有り得るのか?」
「あのね、衛宮くん。海運関係者が何の為にチャート(海図)なんてものを作ってると思う?」
「え・・・そりゃ座礁を防ぐためだろ?」
「そうよ。チャート(海図)は船が座礁しないよう、させないように航路を設定するために作るの」
「ふむ・・・」
「海だからといってタンカーのような大型船が好き勝手に通行することは、座礁のリスクを高めてしまう」
「特に朝鮮半島のあたりは浅瀬が多いしな。大陸棚も関係しているのだろうが・・・」
「そういった浅瀬の多い場所でも、タンカーのような大型船を安全に航行出来るようにする為にチャート(海図)を作り、航路が設定されているわけ」
「なるほど・・・でも、いくら大きなタンカーとはいえ、幅もあるし、浮力も相当なものじゃないのか? そういう船って扁平型みたいに作ってあるだろうし・・・」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・」
「な・・・なんだよ、その可哀想な人を見るような目は・・・(涙)」
「ご安心ください、士郎。実際、私達は可哀想な人を見るような目で見ています」
「どっかで見たわね、この構図・・・」
「気にするな、マスター。気にしたら負けだ」
「いい、衛宮くん。タンカーは確かに貴方の言う通り、浮力を最大限に高めるために扁平型に出来てるわ。けれど、目に見えない部分はかなり沈んでるの。その深さは貴方の想像を超えているわ」
「むぅ・・・それじゃ、実際はどれくらい沈んでるのさ?」
「聞いて驚きなさい。なんと20m以上よ!」
('□'*('□'*('□'*('□'*)ガビーン!!
「ちなみに、ソースはこれね」


航海上の問題点、地形的、地理的条件、喫水問題(資源エネルギー庁HPより pdfファイル5P目下部)



「フ・・・どーせ貴様のことだ。せいぜいが5〜10mくらいだとタカをくくっていたのだろう?」
「う・・・うるさいな、船のことまで知らないんだから、仕方ないだろ!」
黙れ! 無知を棚に上げて開き直るな! 無知はそれだけで罪だ! 知らぬならこれから知ればよかろう!(一喝)」
「まぁまぁ、アーチャー、それくらいにしてあげてください」
「む・・・」
「(なんかあの二人、夫婦みたいに息ぴったりね・・・)」
「(いつのまにかお父さんとお母さんみたいになってるな・・・)」
「(どっちがお父さん役なのかしら・・・)」
「(あー、順当に言えばライダーがお母さん役なんだけど、家事をアーチャーが全部やる、と・・・)」
「(そうそう。で、ライダーが癒し系お母さんって感じかしら?)」
「(ライダーって、どっちかというとスーパー主婦って感じの奥さんになりそうだけどな)」
「(何よ、嫌に具体的じゃない?)」
「(そりゃまぁ、俺は物心ついた時から両親居ないし・・・あんな感じのお母さんだったらなぁ、とは思う訳だが・・・)」
「(む、何気に重い過去を持ち出すんじゃないわよ!)」
「(なんだよ、遠坂が・・・)」
「あの。そろそろよろしいでしょうか?」
「本人を目の前にして陰口とは良い度胸だ、衛宮士郎・・・」
「な、そんなんじゃない! 俺はただ、ライダーがお母さんだったらいいな、って・・・(*゚ロ゚)ハッ!!」
「へぇ、衛宮くんて、ライダーみたいなのが理想なんだ?」
「士〜郎〜!! そこに直りなさい!」
「ふ〜ん、シロウって、ライダーみたいなのがいいんだ?」
「せんぱい・・・フフッ、おいたはダメですよ・・・くすくす」
「シロウ、ちょっとお話があります・・・」
「うぁ、藤ねぇ、イリヤ、桜、セイバー、一体どっから来た!?」
「嫌ですねぇ、センパイ? 男らしくないですよ?」
「その性根、叩き直して差し上げます・・・」












































ただいま、迂闊な事を口走った衛宮士郎が酷い目に遭っております。今しばらくお待ちください。







































ふ・・・理想(のお母さんの虚像)を抱いて溺死しろ、衛宮士郎






































「さて、先ほどアーチャーが言った浅瀬の定義なのですが、普通の人なら人が立って顔が出るくらいの深さのことを言いますが、船の場合、船底水底にが接触するかしないかの運航が難しいエリア、という定義になります」
「実際はタンカー水路というものが作られており、浅瀬でもタンカーのような大型船が運航することは可能だ」
「タンカー水路とは、その名の通りタンカーのような大型船が運航するために造られた、もしくは普通に水深の深い水路のことです」
「また、タンカー水路はその性格上、タンカー以外は運航禁止になっているわね」
「浅瀬の中でも貴重な水深の深い水路ですから、やむをえませんね」
「そこでさっきの話に戻るけれど、上の時系列を見た限り、結果から言うと韓国の曳航船団は迂回路を取るのが面倒でショートカットをしようとしたみたいね」
「・・・は?」
「いえ、本当ですよ、士郎」
「まったくもって度し難いんだが、マスターの言う通りだ」
「だって、朝鮮半島の周りは浅瀬が多くて、タンカー水路以外はタンカーの通る道なんかないんだろ?」
「その通り。またいくら大型クレーン船と言っても、タンカーほど大きくはない」
「迂回する気になれば、いくらでも迂回出来たでしょうね。また、そうするべきでした」
「迂回していたら事故は起きなかった?」
「ifの話をするのは性に合わないんだけどね・・・まず起きなかったでしょうね」
「わからん・・・何故迂回しなかったのか・・・」
「判る必要はないと思いますよ。それが普通の人の感覚ですから」
「(伝説の英雄に「普通の人」の感覚って言われると、何か変な感じね・・・)」
「何か言いましたか? リン」
「いえ、なんでもないわ」
「そうですか・・・」
「それでは次回はもう少し詳しく当時の状況を検証してみましょう」


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